2015年度運動方針

統一テーマ

公益社団法人として、自立センターとともに総合的な聴覚障害者支援体制を構築し、「手話言語法(仮称)」の年内実現に向けて全力を尽くすとともに、都と区市町村の意思疎通支援事業拡充を進め、さまざまな課題を解決していくために具体的な目標を掲げて取り組んでいこう。

1.手話言語法(仮称)の年内制定を実現し、手話が権利として認められる社会の構築をめざそう

 昨年2月にようやく国連障害者権利条約が日本でも批准されました。権利条約では「手話は言語」と明記され、「情報アクセスの保障」や「合理的配慮」が定められており、私たちが推進している法制定実現への後押しとなります。
 特に「手話言語法」は全国都道府県区市町村全ての議会から国へ意見書を提出するという古今未曾有の運動を展開しており、東京でもすでに90%以上を達成し、離島があるため困難と思われた100%達成もほぼ確実となりました。全国的にも都道府県全てが採択し、県レベルで100%を達成する地域が次々と出ており、不可能と思われていた運動が現実味を帯びてきています。
 意見書100%達成を錦の御旗に「手話言語法」が制定されれば、教育をはじめとするさまざまな分野での手話の位置づけが確固たるものになっていくことが期待されます。年内制定も夢ではありませんので、一気に制定できるよう、今こそ全力をあげて取り組んでいくときです。
 手話言語法制定の次は各地域の「手話言語条例」制定です。2013年10月の鳥取県での「手話言語条例」制定をはじめ、昨年12月には神奈川県でも手話言語条例が採択されるなど、県や市町の条例が次々と制定されています。
 東京でも、一番乗りの地域はどこか競争するぐらいの気持ちで、区市の手話言語条例制定を目指して取り組みを進めていきましょう。
 「情報コミュニケーション法」については、聴覚障害者以外の情報に課題をかかえる障害者との連動が鍵となります。対照が幅広くなると新しい法律の制定は困難となるかもしれませんが、2016年に施行が予定されている障害者差別解消法に盛り込むなどして、何らかの形で法制化できるように、多くの障害者団体とも協力しあいながら取り組みを進めていかねばなりません。

2.自立支援センターとともに公益社団法人にふさわしい公益活動を展開していこう

 「公益法人制度改革」により、当連盟は東京聴覚障害者自立センターと一体化する形で公益社団法人めざして準備を進め、一昨年(2013年)11月28日に晴れて公益社団法人に移行しました。
 「公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構」を当連盟と自立支援センターが構成し、公益目的事業は自立センター事業が中心になりますが、その公益目的事業を支援するのが当連盟であり、連盟が担当する事業の大部分も公益目的事業として位置づけられています。さらに当連盟は会員組織として会員へのサービスや支援も実施していかねばならず、当連盟は公益法人の土台を担うという重要な役割を果たさなければなりません。
 公益目的事業としての東聴紙作成方法の見直しや、都大会、センターまつり、耳の日記念文化祭などの開催方法の見直しなども必要になってきています。
 公益法人への移行の過渡的措置として、財務処理や就労規則等の細かな部分は2,3年かけて申請した内容に移行していくことが認められているため、今後連盟と自立センターの総務担当を中心にして2015年度内(2016年3月まで)をめどに、人事や規約、事務体制などの完全移行を進めていきます。

3.情報アクセシビリティの推進とコミュニケーション支援の拡充を進めていこう

 障害者自立支援法のために都の手話通訳や要約筆記派遣事業が廃止され、区市自治体と派遣センターの契約で都の通訳者に依頼はできるものの、各区市で派遣要綱やコーディネート方法が異なるため依頼方法や派遣条件に格差ができてしまい、緊急の派遣依頼や遠隔地の派遣依頼などに対応できない地域の聴覚障害者は不安をかかえたまま生活しています。格差をなくし区市にまたがる広域派遣などに対応するためには都の個人対象の通訳派遣は必須です。昨年度は「障害者総合支援法」において、「広域派遣」「専門性の高い派遣」の都道府県実施が必須事業となったため、都の意思疎通支援事業が予算化しましたが、初年度予算額は約500万円と少なく、内容も広域派遣コーディネートと公益事業を行う団体への派遣に限定されていましたが、予想以上の実績があったことから、2015年度はほぼ5割増となりました。この予算を大事にし、今後も内容充実と予算増を強く働きかけていくとともに、情報コミュニケーション法の具体化による、地域の派遣制度の底上げも行っていかねばなりません。
 都から情報提供施設として認可されている、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターでも組織や運営方法の見直しを進めており、当連盟も加入している都内聴覚障害者関係組織で結成する「東京都聴覚障害者福祉対策会議」で情報文化センターとの関わり方を審議してきました。ようやく情報文化センターの評議員が当連盟から選出されたり、16ミリ字幕映画の貸し出し事業を合同で始めるなど、少しずつですが我々が運営にも関われるようになってきています。今後、さらに関係を深めて、当事者団体と密着した情報提供施設を実現するための方策を、ともに模索していきます。
 また、12月には2回目の「情報アクセシビリティ・フォーラム」の開催が予定されていますので、前回以上の成果をあげて、手話言語法制定や情報コミュニケーション法実現に弾みがつくよう、支援していかねばなりません。

4.新しい都との協定やボランティアセンターとの連携による防災活動を具体的に進めていこう

 2011年3月11日、全ての国民の心に刻み込まれた大震災から4年の月日が過ぎ、その記憶は徐々にですが風化してきています。しかし、まだ災害の傷跡が癒えない地域や人々がいます。また、阪神淡路島大震災から20年が経ち、避難住宅の退出を求められるなど、長期避難の課題も表出してきています。
 東京では防災計画の大幅修正があり、2010年9月に当連盟と東京都で締結した「災害時における手話ボランティア支援に関する協定書」の拠点となる「広域ボランティア拠点」が防災計画から削除され、ボランティア支援の拠点は区市町村に移ることになりました。
 その後、東京都や都ボランティアセンターなどと話し合いを重ね、ようやく2014年2月12日に改正した協定で再締結を行うことができました。同協定を基にした「手話ボランティア支援マニュアル」の見直しも昨年でほぼ終わり、区市登録手話通訳者の事前登録も始まっています。
 改正により、地域(区市)における支援体制がより重要になりましたので、地域において自治体と話し合い、聴覚障害者への具体的な支援体制を構築するとともに、一人ひとりが自分の命を守れるように、防災のための効果的な備えを広く周知していかねばなりません。
 都が普及を進めている「ヘルプマーク」を地域で活用する取り組みも必要になりますし、災害バンダナのさらなる活用や、昨年初めて配布した「災害支援ベスト」の有効利用も肝要です。せっかく作ったグッズを有効活用できるように、地域において災害担当をきちんと設置し、手話通訳者やサークルなどと話し合いを重ねたり、避難訓練を実施するなどして支援体制の構築を進めていく必要があります。
 体制整備やマニュアル作成だけでなく、災害専用ウェブページの立ち上げや携帯等への情報発信、安否確認システムの構築などといった実効性のある対策の検討も必要ですし、理解を深めるためには対策の可視化も欠かせません。連盟と地域で連携してより良い災害対策を構築していきましょう。

5.ブロック制のもとに地域との絆を深め、新しい風を吹かせよう

 公益社団法人移行と並行して組織改革を進め、ブロック制度を核とした組織改革を行い、選挙による役員、専門部推薦役員のほかに、東西南北4ブロック推薦による役員を新設しました。
 今後はブロック制を活用して、地域格差是正や会員拡大のための実効性のある方法を探求していき、区市会長会議や課題対策会議、地域担当者会議等でトップダウン(連盟からの指示・情報提供)とボトムアップ(各地域からの要望・提案)を強化して区市協会とのつながりを深めるとともに、手話通訳組織や手話サークルと協働しながら日本聴力障害新聞や季刊MIMIの読者拡大運動、全国手話研修センター後援会会員拡大などの取り組みを展開していきましょう。
 公益法人移行と役員改選から1年が経ち、今年の10月には役員改選が予定されています。
 体育部をはじめ、高齢部、女性部、青年部では会員拡大や新しい人材確保に取り組んでいますが、なかなか成果が出ないでいます。以前の調査で、スポーツ活動に対するニーズは高い反面、若手が集まる場なのにろう運動に対する関心が低いことが判明しましたので、デフリンピックや2020年のオリンピック・パラリンピックなどを最大限に活かして、ろう運動の重要さを認識してもらう取り組みを進め、会員増や新しい役員の育成に結びつくようにして、東京のろう運動に新風を吹かせましょう。
 連盟内だけでの取り組みでは新しい会員や人材の発掘になかなか結びつかないと思われますので、相談支援事業、労働・就労支援事業、高齢者支援、スクールソーシャルワークなどの自立センター事業を通して、組織外の聴覚障害者への啓発と会員拡大の取り組みや新たな人材の発掘を行っていかねばならないでしょう。
 立川ろう学校での知的学校併設問題やろう重複障害児への支援などについては切迫した問題であり本腰を入れて取り組む必要がありますので、昨年東京で実施した、第26回ろう教育を考える全国討論集会を契機に、ろう教育を推進するための組織化を進めていきます。
 そして、不況で仕事につくことができない聴覚障害者は増える一方です。東京聴覚障害者自立支援センターの相談支援事業や就労支援事業を通して支援を進めるとともに、その支援が会員増に結びつくように合理的な取り組みを進めていきましょう。

6.組織や事務局体制の再編整備を進め、加盟団体が力を合わせて新しい連絡体制を作っていこう

 都内の聴覚障害団体と関係団体が力を合わせて建設した二つの施設が「東京聴覚障害者自立支援センター」と「たましろの郷」です。いずれも建設土地確保と建築費造成のため多額の長期負債を抱えており、自立支援センターは年額約500万円、たましろの郷は年額約1000万円の返済義務があります。
 これらの融資を返済するために会員を増やす、募金を集める、有効な収益事業の実施、などの取り組みの他に、公益法人移行による連盟と自立支援センター運営統合による合理化や、融資見直し、資産売却などによる計画的な資産運用の検討も進めていきます。
 職員体制も連盟と自立センターの統合により再編整備が必要になりましたので、総務関係者で見直しを進めており、年内の事務所統合などを進め、早ければ年度内、遅くとも2年後には完全統合する予定です。
 現在中心になっている職員の後継者育成を現実的に進めなければならない時期にきていますので、年度内には具体的なプランを作成しなければなりません。
 職員だけでなく役員の健康管理対策も重要課題となっていますので、職員の定期的な検診に加え、役員も含めた健康維持のための取り組みなどを検討していきます。
 事務所内のサーバーから遠隔地のレンタルサーバーに変更し、震災時でも情報の発受信ができるようにしたため、より安定したサービスを提供できるようになりました。フェイスブック等による情報発信やメーリングリスト(ML)等による情報交換も活用されています。
 しかし、インターネットを利用した情報のやりとりは、もはや当たり前のことで、今後はクラウドなどを活用したグローバルな相互ネットワークの構築が求められています。そのために連盟だけでなく端末である区市協会の通信体制構築が必須となります。
 今まで長い年月をかけて、FAX同送をメールに移行できるよう準備をしてきました。契約していた民間企業のFAX一斉送信のサービスが廃止されてしまいましたので、FAXによる一斉通知ができなくなり、今後はメールによる一斉通知に移行していかざるを得なくなりました。
 そういう事情もあり、2015年度の早い時期にメールによる通達への完全移行を進めたいと考えていますので、地域において必ずメールによる送受信ができる体制を確立するための準備と支援を進めていきます。

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