2018年度運動方針

統一テーマ

東京都の「手話言語条例」をオリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに実現するために、都の差別解消条例を足がかりに交渉を続け、区市
の「手話言語条例」の制定も進めることを通して、「手話言語法」の制定の後押しを進めるとともに、ICTなどの新しい技術の活用や就労移行支援事業などの新事業実施による新たな福祉施策を推進していくことで、さらなる聴覚障害者の社会参加を進めていこう。

1.都の差別解消条例制定を元に都と区市の「手話言語条例」の制定を進め、国の「手話言語法」制定を後押ししよう。

「手話言語法」制定のために全国都道府県区市町村全ての議会から国へ意見書
を提出した古今未曾有の運動にもかかわらず、まだ手話言語法は実現できていません。新法制定の困難さもあるでしょうが、「手話は言語であり聴覚障害者の言葉である」という理念への理解がまだ国民に行き渡っていないということも一因と思われます。
「手話言語法」を実現するための後押しとして、都道府県区市町村の「手話言
語条例」制定が有効なことは間違いありませんので、東京都も「東京都差別解消条例」の中に「手話は独自の文法を持つ言語であるとの認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げ、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」という内容を盛り込み、それを元に、調査などを行い、東京にふさわしい手話言語条例を制定していきましょう。
東京は勤務や観光など住民以外の来訪者が非常に多いので、それらにも対応し
た内容や、自立支援法後、意思疎通支援事業の地域格差が大きくなっているので、格差を是正できる内容にしなければなりません。意思疎通支援に地域格差があってはならないと考えます。
ICT遠隔通訳などの新しい取り組みの始まっており、時代に即した取り組み
が求められています。交渉のためにも、さまざまな情報を的確に得るなどの努力が必要です。

2.オリパラに向けて全都民への啓発と手話の普及を推進し、ソフト面の充実を進める都の施策をもとにさらなる高みをめざす運動を展開していこう。

2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、東京都が手話の普及、
手話通訳養成のために多額の予算を組んでいます。その予算を有効に活かしていかねばなりません。若い人々に手話や聴覚障害者のことを知っていただくことを目的とした「みみカレッジ」は今年も実施されますので、より充実した内容で開催し、将来の聴覚障害者施策に結びつけていく必要があります。
昨年7月にトルコで開催されたサムスンデフリンピックでは、東京勢が大活躍
しましたが、都知事の手話による激励の言葉やメダリストに対する表彰などもあり、行政やマスコミの聴覚障害者スポーツに対する認識が変わってきました。この機会を逃さず聴覚障害者スポーツの啓発を進めるとともに、全都民に対しての聴覚障害者への理解のために動画やネットワークなどのメディアを活用した啓発活動や手話の普及活動を東京都と一緒になって展開していきます。
東京都では現在「第五期障害者福祉計画」の見直しを進めています。第四期よ
りハード偏重だった計画が情報保障や啓発などのソフト面も重く見られるようになっていますが、第五期に向けての提言では「ハードとソフトを同等にとらえた施策」が打ち出されており、「福祉のまちづくり」でもそれを受けて、大幅な見直しが進められています。ソフト面に重きを置く私たち聴覚障害者福祉を大きく進展できるチャンスでもあります。そのうねりに乗って、都だけでなく区市町村も含めてさらに聴覚障害者施策が充実していくよう取り組んでいきましょう。
また、東京では2014年2月12日に改正した協定で都と当連盟(公益法
人)が再締結し、同協定を基にした「手話ボランティア支援マニュアル」の見直しも終わり、区市登録手話通訳者の事前登録者も100名を越えています。
新しい防災計画で地域(区市)における支援体制がより重要になりましたので、地域において自治体と話し合い、聴覚障害者への具体的な支援体制を構築するとともに、一人ひとりが自分の命を守れるように、防災のための効果的な備えを広く周知していかねばなりません。
都が普及を進めている「ヘルプマーク」を地域で活用する取り組みも必要にな
りますし、災害バンダナや災害支援ベスト、新たに寄贈を受けた「アンブルボード」などのグッズを有効活用できるように、地域において災害対策担当を決めたり、手話サークルなどとともに災害対策委員会を設置するなどして話し合いを重ね、避難訓練を実施するなど具体的な支援体制の構築を進めていく必要があります。

3.公益法人として新事業実施や体制整備を進めることで、聴覚障害者の就労や社会参加、法人全体の事業充実、事務所の合理化を進め、総合的な聴覚障害者支援体制構築に結びつけよう。

「公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構」としての公益目的事業を充実す
べく自立支援センターではこの4月から「就労移行支援事業」を実施することになりました。
それに伴い、公益社団法人の事業や体制の大幅な見直しを行い、連盟と自立セ
ンターの事務所を統合し、手話啓発事業などの事業を連盟事業として実施するほか、センターまつりを独立した運営委員会体制にして連盟が事務面を担当するなど4月からいろいろ変わることになりました。
あわせて公益社団法人の理事体制の見直しや当連盟と自立センターの運営面で
の完全統合も進めています。2018年度は暫定期間としていろいと施行しながら運営や事業を行い、2019年度には新しい運営体制に移行していく予定です。
自立支援センターで始める「労働移行支援事業」は就労に向けて必要なことを
学ぶだけでなく、職場定着支援のほか、将来的にはB型事業所の運営などいろいろな可能性もありますし、円滑に運営できれば大きな収益になります。
そのためには、受け皿である公益社団法人や施設としての自立支援センターの
整備が必要ですし、それらの土台である当連盟の理解と活動の充実が今、求められています。

4.高齢聴覚障害者が安心して暮らせる施策を提案し、教育関係者との連携を深めるとともに新しいろう重複児施設建築運動を進めていこう。

高齢化が進んだ現在、会員の3分の1以上が高齢者です。長い間当連盟を支え
てくださった高齢会員が体力的な理由等で運動に参加できなくなり当連盟を離れていくことも増えてきました。これらの高齢聴覚障害者への支援と施策構築が今必要とされています。
一昨年、高齢聴覚障害者の現状とニーズを把握するため、調査と研究を助成金
を受けて実施し、昨年報告書がまとまりました。この報告書を活用し、地域での施設作りなどの具体的な施策プランを当連盟で提案していくなど、現実的な支援に結びつけられるような取り組みを行っていきましょう。
ろう学校運営協議会委員に当連盟から役員を送りだしたり、入学式や卒業式に
招待ていただいたり、当連盟のイベントに招待するなど関係は深まってきています。ろう学校や教育関係団体との連携をさらに良くしていき、充実したろう教育が実施できるよう取り組んでいきます。
ろう学校がなかなか受け入れなくなっている、ろう重複障害児への支援も切迫
した問題です。これらの問題について東京都教育委員会と話し合うなどの取り組みを進めていきます。署名に協力いただいたろう児入所施設継続(設立)の取り組みも、新しい受け入れ先である社会福祉法人が見つかり、今年3月に予定されていた閉園が延期となり、新しいろう児施設建設のための準備が始まっています。
施設建設のために高額な資金が必要になりますので、運動体としても全力をあげて支援していかねばなりません。

5.ブロック制の充実で地域との組織力を強化して支援者を増やすとともに、事務局長の引き継ぎを通して事務局体制の整備を進めていこう。

東西南北4ブロック推薦による役員体制も4年が経ち、そろそろ真価が問われるときです。昨年から検討を進めてきたブロック単位のリーダー養成講座や会員の声を聞く会、高齢聴覚障害者サロンなどの取り組みを実施することで各ブロックの活動をさらに活性化させ、ひいては連盟と地域、また地域協会どうしの繋がりを強化し、地域格差是正や会員拡大に結びつく運動を展開していきます。ブロック体制が機能し、ブロック選出役員が活発に取り組むことが、地域の運動や東京の聴覚障害者福祉の発展につながることを理解していただき、加盟全区市協会が積極的にブロック活動に参加するようお願いしたいと思います。
また、手話関係組織とも協働しながら日本聴力障害新聞や季刊MIMI読者拡大、全国手話研修センター後援会拡大などの取り組みも継続していきます。
前述のように公益法人としての連盟と自立支援センターの体制見直しが進んでいます。あわせて法人全体の財政健全化のための取り組み始まりました。しかし連盟事務局長の後継者育成は役員学習会を開催するなど具体的に進めましたが、定年後も再雇用することになり、まだ目処がたたないでいます。事務処理の仕事だけでなく、オリパラや福祉施策、条例制定などの都の会議も多く、福祉対策会議等の関係団体との話し合いなどその仕事は多岐にわたるため、すぐ引き継ぐことは困難な状況ですが、段階的に引き継いだり、職務内容を分散するなど具体的なプランを進めなければなりません。その中でより充実した事務局体制を構築していくことが望まれます。
職員だけでなく役員の健康管理や生活の質向上も重要課題となっていますので、役員も含めた福利厚生や健康維持のための体制整備を法人全体で進め、そういう取り組み中で若者や女性も就任しやすい役員体制を構築していかねばなりません。

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