2019年度運動方針

統一テーマ

東京都の新しいろう運動構築と聴覚障害者福祉改革をめざして、「デフリンピック東京招致」「手話言語条例制定(都&区市」「オリ・パラの情報保障」「福祉事業と連動した体制構築」を進めていこう。

1.2025年デフリンピック東京開催をめざして全力をあげて取り組もう。

 「手話言語法」制定のために全国都道府県区市町村全ての議会から国へ意見書を提出した古今未曾有の運動にもかかわらず、まだ手話言語法は実現できていません。新法制定の困難さもあるでしょうが、「手話は言語であり聴覚障害者の言葉である」という理念への理解がまだ国民に行き渡っていないということも一因と思われます。
「手話言語法」を実現するための後押しとして、都道府県区市町村の「手話言語条例」制定が有効なことは間違いありませんので、東京都も「東京都差別解消条例」の中に「手話は独自の文法を持つ言語であるとの認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げ、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」という内容を盛り込み、それを元に、調査などを行い、東京にふさわしい手話言語条例を制定していきましょう。
東京は勤務や観光など住民以外の来訪者が非常に多いので、それらにも対応した内容や、自立支援法後、意思疎通支援事業の地域格差が大きくなっているので、格差を是正できる内容にしなければなりません。意思疎通支援に地域格差があってはならないと考えます。
ICT遠隔通訳などの新しい取り組みも始まっており、時代に即した取り組みが求められています。交渉のためにも、さまざまな情報を的確に得るなどの努力が必要です 昨年5月の当連盟評議員会において「デフリンピック2025年東京招致」の特別決議を採決し、これまで全国ろうあ者大会での特別決議提案や都福祉懇談会での要請、都議会ヒアリングでの要請などの他、都知事への要請や都議会各党との交渉など取り組んで参りました。
 1991年に東京で開催された「第11回世界ろう者会議」は「聴覚障害者独自の拍手普及」や「ろう者のアイデンティティ確立」などの変化をもたらしました。デフリンピック東京開催は聴覚障害者に対する理解や手話への認知度が進むことはもちろん、それらを通してボディランゲージなどの非音声コミュニケーションへの理解や順応が進むことで、国際的な対応力がより成熟されるでしょう。
 2025年は1924年にパリで第1回デフリンピックが開催されてから100年目となります。その記念すべき年に東京で開催することで、国内外に成熟した開催都市をアピールするまたとないチャンスとなり、2020年東京オリパラのレガシーを活用することで、情報アクセシビリティの整備やダイバーシティ東京の共生社会構築がさらに進むことが期待できます。
 さまざまな困難が予想されますが、デフリンピックを東京で開催することにより、ろう者がろう者としての自覚と誇りを持ち、そして障害のある人も障害のない人も多種多様な人々と自由にコミュニケーションできるように「心のバリアフリー浸透」と「全ての人に開かれた言語・コミュニケーション環境づくり」を進めるために、最後まであきらめずに都と地域が力を合わせて全力をあげて取り組んでいきましょう。

2.都の差別解消条例制定を元に地域情報支援格差をなくし、都と区市の「手話言語条例」の制定を着実に進めよう。

 昨年10月に制定された「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」の中に「都は、独自の文法を持つ手話は一つの言語であるという認識に基づき、都民及び事業者において言語としての手話の認識を広げるとともに、手話の利用が普及するよう必要な施策を講ずるものとする。」という条文が盛り込まれました。これは終わりでなくスタートです。この条文を基に、調査などを行い、東京にふさわしい手話言語条例を制定していかねばなりません。
 東京は勤務や観光など住民以外の来訪者が非常に多いので、それらにも対応した内容や、自立支援法後、意思疎通支援事業の地域格差が大きくなっているので、格差を是正できる内容にしていきましょう。意思疎通支援に地域格差があってはなりません。
 昨年は江戸川区を皮切りにいくつかの区で手話言語条例が制定、または採択されました。23区は他区に追従するケースが多いので制定する区は今後も増えていくでしょう。
 懸念は独立した手話言語条例でなく情報保障、コミュニケーション支援と合わせた条例が増えていることです。合わせた条例が全て良くないという訳ではありませんが、手話言語の理念や実効性が曖昧になるなどの問題をきちんと学習し、他地域の真似をするのではなく、地域の状況にあった条例を行政や議会の理解を得ながら制定していかねばなりません。
 市部は特別区の施策に追従しないことが多いので、区が次々に制定していってもそれだけではなかなか制定されないと思われます。逆に言うと独自の地域に合った手話言語条例を制定できる可能性があるとも言えますので、さまざまな手段を駆使して行政や議会と交渉してよりよい手話言語条例制定を目指して欲しいと思います。
 そのために必要なのは行政や議員と共に学習活動を展開していくことです。行政や議員をリードするために主体性を持った学習や交渉を実施していきましょう。当連盟としても支援をしていきますので、こまめな「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」をお願いします。

3.オリパラに向けて手話の普及を推進し、縦割り政策を超えた新しい情報支援システムを構築していこう

 2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、東京都が手話の普及、手話通訳養成のために多額の予算を組んでいます。その予算を有効に活かしていかねばなりません。若い人々に手話や聴覚障害者のことを知っていただくことを目的とした「みみカレッジ」は今年も実施されますので、より充実した内容で開催し、将来の聴覚障害者施策に結びつけていく必要があります。
 オリパラの影響による組織見直しやICT(情報通信技術)の飛躍的な向上で情報支援のシステムも大きく変わりつつあります。
 特に福祉保健局、生活文化局、産業労働局、交通局、警視庁、消防庁、病院経営本部、そして国の部署ですが気象庁といった私たちの生活に直接かかわる部署は今まで独自で情報支援をしたり、福祉による意思疎通支援に便乗する形でしたが、それでは無駄が多く支援体制も偏るので、各部署の協同による情報保障や意思疎通支援が必要ということがかねてより指摘されていました。システムが変わりつつある今こそが、旧態依然とした情報支援システムを改革するチャンスです。
 無駄をなくし各部署が予算を出し合うことで、かねてより熱望されていた24時間支援受付体制などにも結びつく可能性があります。
 来年のオリパラ開催までにこれらの目処をつけないと手遅れになるかもしれませんので今年が正念場であり、今が頑張らなければならない時です。
 皆で頑張るために大切なことは「理解と情報の共有」です。そのために、より多くの地域が都レベルの会議に参加するよう切望いたします。

4.公益法人として事業充実で職業支援や社会参加を進め、都内施設の連携による総合的な聴覚障害者支援体制構築しよう。

 「公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構」の公益目的事業を充実すべく自立支援センターでは昨年4月から就労移行支援事業所「RONAスクール」を開所、通所者も徐々に増加し順調に運営されています。
 「労働移行支援事業」は就労に向けて必要なことを学ぶだけでなく、職場定着支援のほか、将来的には就労継続支援B型事業所の運営などさまざまな職業支援に結びつく可能性もあります。
 公益社団法人の事業や体制も大幅な見直しを行い、連盟と自立センターの事務所を統合し、手話啓発事業などの事業を連盟事業として実施するほか、センターまつりや自主イベントを独立した運営委員会体制にするなどいろいろと変わってきています。
 同様、手話通訳等派遣センターやたましろの郷を運営する社会福祉法人東京聴覚障害者福祉事業協会や東京都の情報提供施設として認可されている社会福祉法人聴力障害者情報文化センターも事業の見直しや社会福祉法人制度改革施策などで運営のあり方が変わってきています。東京聴覚障害者支援センター(旧・東京都ろうあ者更生寮)も建築50年が経ち建て替えの時期に来ていることや、新しいろう児施設の建設も進められていること、さらには全日ろう連の事務所移転が決まったこと、都内に電話リレーサービス拠点が設立される可能性もあるなどの動きがあり、これらの動きにうまく乗ればバラバラだった東京の聴覚障害者施設が何らかの形でまとめられる可能性もありますし、念願だったろう高齢者施設建設の可能性も出てくるかもしれません。
 まだ数年後の話かもしれませんが、大きな動きですので、今から中長期展望を持って関わっていく必要があります。
 そのために肝要なのは、これらの取り組みを担う人材の発掘と育成でしょう。

5.ブロック制の充実で地域との組織力を強化して支援者を増やすとともに、事務局長の引き継ぎを通して事務局体制の整備を進めていこう。ブロック制の充実で組織力を強化し、事業に関わる支援者を増やすことで事業の充実と新しい体制整備を進めていこう。

 東西南北4ブロック推薦による役員体制も3期目に入りましたが、会員増や活動の活性化などの効果はまだ見えない状態です。しかし、日本財団との共催による電話リレーサービス学習会をブロックで実施するなど少しずつ活用が進められています。
 ブロック体制が機能し、ブロック選出役員が活発に取り組むことが、地域の運動や東京の聴覚障害者福祉の発展につながることを理解していただき、加盟全区市協会が積極的にブロック活動に参加するようお願いしたいと思います。
 前項の組織的大幅改革の実現が近づけば、それらの事業に従事する人材が増加することになります。東京の欠点は福祉事業に従事する聴覚障害者と運動の関わりが弱いことです。
 京都、大阪、埼玉、千葉などの取り組みを参考に、福祉施策による事業従事者のろう運動への関わり方を見直し、聴覚障害者福祉事業実施と運動が一体となった体制を構築していくことができれば必然的に運動のための人材が充実することも期待できますので、その中で課題だった事務局長の後任者確保なども具体化してくることが期待できます。

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