2021年度運動方針

統一テーマ

コロナ禍を乗り越えて「デフリンピック東京開催」と「手話言語条例制定」を実現し、東京の新しいろう運動構築と聴覚障害者福祉改革をめざして、「福祉事業と連動した体制構築」のために「学習活動」を進めていこう。

1.2025年デフリンピック東京開催を実現し、全日ろう連と共に資金3億円造成に取り組もう。

当連盟と全日ろう連で「デフリンピック2025年東京招致」の特別決議が行われたのは2018年でした。それから3年間にわたって、都や都議会への要望、小池都知事との話し合いや国会議員との交渉などを全日ろう連と共に取り組んできました。
これらの交渉が実を結び、昨年2月の国会で安倍首相による非常に前向きな発言があり、各党による「デフリンピック支援ワーキングチーム」「デフリンピック支援委員会」などが組織されました。
なかなか決まらなかった2021年デフリンピック開催地もブラジルと決まり、昨年7月の都知事選でも小池都知事が方針として掲げ、オリパラが終われば今まで課題となっていたことが解消されるため、2021年度中の招致確定が見えてくるはずでした。
そんな折りに新型コロナウイルスが発生し、全世界で感染が拡大し大規模なパンデミック(世界的大流行)となり、オリンピック・パラリンピックは1年の延期、本年開催も危ぶまれる声すらあります。
国会も都も「オリパラが開催できるかどうかという瀬戸際のときに次の大規模スポーツイベントを検討できる余裕はない」という感じになってしまいました。
しかし、全日ろう連では昨年10月に開催されたオンライン評議員会において「デフリンピック準備室」を設置し、東京からも2名の準備室メンバーが選出されました。3億円の開催資金造成も決議され、そのうち1億円を東京が集めることになっています。
それを受けて東京でも「デフリンピックフェスティバルinTOKYO」を企画し、東西南北4ブロックでの開催を進めました。2度目の緊急事態宣言で延期になるなどがありましたが、いつまでもコロナのために何もできない状態に甘んじるのではなくオンラインなど新しい方法を駆使しての開催に向けての取り組みを進め、グッズ販売などの資金造成活動も展開させ、2022年度中にデフリンピック東京招致を決め、資金造成も目処をつけたいところです。そのためには、多くの方の理解と協力が必要です。
デフリンピック東京開催のためには2021年度が正念場となります。私たちの夢を実現するために力をあわせて頑張りましょう!

2.コロナ禍を乗り越え情報支援のあり方を見直すとともに、都と区市の「手話言語条例」の制定を進めよう。

新型コロナウィルスパニックで世界中で大波乱が巻き起こってから1年以上が過ぎましたが、その混乱は今も続いています。
しかし、都の差別解消条例制定で言語としての手話の普及や情報支援について求めたり、デフリンピック招致のため各所と交渉してきたことで、情報支援の重要さが都にも認識され、要望したその日のうちにコロナ対策に関する都知事会見で手話通訳が付きました。
オリパラで活用し将来的な情報支援手段のひとつとして認識を高めようとしていた遠隔通訳システムをコロナウィルス対策支援として提案し、それも認められました。
現在、ワクチンの接種がようやく始まり、コロナ収束に向けて光が差し始めています。しかし、感染はまだまだ続くと思われます。この一年間はコロナによって会議や講座、イベントなどが開催しにくくなりましたが、オンラインなどの活用や感染対策の進歩等で新しい形での活動ができるようになってきました。
このコロナ禍において取り入れられた新しい技術や方法を今後の運動にいかに活かしていくかということも大事な課題になるでしょう。
他県のなかには手話言語条例が制定されているのに、知事会見になかなか手話が付かなかったところがありました。これは名前だけの条例ではあまり意味がないということを証明していると思われます。今後はじっくり腰を据えて実効性のある条例制定を目指していくべきでしょう。
都内でも全地域で制定した東ブロックを中心に手話言語条例制定が進められています。しかし、一部を除き独立した手話言語条例でなく「ハイブリッド条例」ばかりとなっています。ハイブリッド条例が全て良くないという訳ではありませんが、手話言語の理念等が曖昧になるなどの問題をきちんと学習し、地域の状況にあった実効性のある条例を行政や議会の理解を得ながら制定していかねばなりません。
市部ではなかなか制定されない状況ですが、いくつかの地域では動きがありますのでさまざまな手段を駆使して行政や議会と交渉してよりよい手話言語条例制定を目指して欲しいと思います。
そのために必要なのは行政や議員と共に学習活動を展開していくことです。行政や議員をリードしていくために必要な情報や知識は地域担当者会議や課題対策会議、会長会議等で提供していきますので、多くの地域から積極的な参加をお願いします。

3.オリパラの後も手話の普及を推進し、電話リレーサービスやICTを活用した新しい情報支援システムを構築していこう。

コロナウイルス感染防止策として「遠隔通訳システム」が導入され、オンラインによる会議やイベントが当たり前になりつつあります。
そして日本財団の支援で進められてきた「電話リレーサービス」が2021年度より公共インフラの一つとして位置づけられ、政府による事業として開始されます。
ICT(情報通信技術)の飛躍的な向上で情報支援の方法やシステムも大きく変わりつつあったところを、コロナ禍がその後押ししたとも言えます。
政府による電話リレーサービスは「24時間365日支援」をうたっており、7月以降に実施される予定です。しかし、24時間毎日電話ができるようになっても、手話通訳等の受付はほとんどが平日の9時から17時までであり緊急時に対応していません。これでは非常時における対応は今までと変わらないということになります。
今こそ、かねてより熱望されている24時間支援受付体制の必要性を行政に強く訴えていかねばなりません。それが実現されてこそ本当の「公共インフラ」と言えます。
また、電話リレーサービス=インターネットでの動画送受信=ができない聴覚障害者への支援も忘れてはならないでしょう。昨年6月の高齢会員へのコロナ支援アンケート調査において高齢ろう者の約半数がインターネットやDVD等が見られないことが判明しました。こういう高齢ろう者をどう支援し、どうやって情報提供していくかの取り組みが必要です。
そのためには、昨年の方針でも明記したように都と地域の連携が重要になります。連携のために大切なことは「理解と情報の共有」です。現在、会長会議、課題対策会議、地域担当者会議などの場で情報を提供したり意見交換をしていますが参加地域に偏りがあり、それが地域格差や支援格差につながっていますので、遅れている地域こそが都レベルの会議に参加するよう切望いたします。

4.公益法人としての事業を充実し、都内施設の連携と福祉施策の拡充による聴覚障害者支援体制を構築しよう。

「公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構」の公益目的事業を充実すべく自立支援センターでは2018年4月から就労移行支援事業所「RONAスクール」を開所、その翌年から指定特定相談支援事業所「RONAプラン」も開始し、通所者も一時は定員になるほど増加し、就労に結びつく人も出て順調に運営されています。
「就労移行支援事業」は就労に向けて必要なことを学ぶだけでなく、職場定着支援のほか、将来的には就労継続支援B型事業所の運営などさまざまな職業支援に結びつく可能性もあります。
公益社団法人の事業や体制も大幅な見直しを行い、連盟と自立センターの事務所を統合し、手話啓発事業などの事業を連盟事業として実施するほか、センターまつりや自主イベントを独立した運営委員会体制にするなど変わりました。
同様、手話通訳等派遣センターやたましろの郷を運営する社会福祉法人東京聴覚障害者福祉事業協会や東京都の情報提供施設として認可されている社会福祉法人聴力障害者情報文化センターも事業の見直しを行っており、社会福祉法人制度改革施策などで運営のあり方が変わってきています。東京聴覚障害者支援センター(旧・東京都ろうあ者更生寮)も建築50年以上が経ち建て替えの時期に来ていますし、新しいろう児施設もようやく決まり、2年後には建設される予定です。
これらの動きにうまく乗ればバラバラだった東京の聴覚障害者施設が何らかの形でまとめられる可能性がありますし、念願だったろう高齢者施設建設の可能性も出てくるかもしれません。
そのために、福祉施策や施設建設や運営についての具体的な学習が必要です。
「東京の聴覚障害団体は運動の力はあるが福祉についての勉強が足りない」という声があります。振り返ってみると自立支援センターを除く都内聴覚障害者関係施設や事業所の運営は保護者や支援者などの聞こえる人中心で行われてきています。
当事者である私たちがこれらの運営に関わるために、福祉制度の学習に力をいれることとそれを担う人材の発掘と育成が必要です。全日ろう連が作成した「地域に生きる拠点を創る」などを使用した学習会などを行い、将来に向けた取り組みを進めていきましょう。

5.ブロック制の充実で組織力を強化し、福祉事業に関わる者を増やすため学習活動を進めていこう。

東西南北4ブロック推薦による役員体制が始まってから7年が経過しました。ブロック担当が会員拡大や後援会支援などの役割を分担したり会員の声を聞く会を開催するなど活用が進められています。
ブロック体制が機能し、ブロック選出役員が活発に取り組むことが、地域の運動や東京の聴覚障害者福祉の発展につながることをさらに理解していただき、加盟全区市協会が積極的にブロック活動に参加するようお願いしたいと思います。
前項の長期展望による改革を実現するためには、ブロックの中での学習も重要になります。例えばブロック毎の高齢ろう者グループホームが建設できれば、それらの事業に従事する人材が増加することになります。東京の課題は福祉事業に従事する聴覚障害者と運動の関係が弱いことです。
京都、大阪、埼玉、千葉などの取り組みを参考に、福祉施策による事業従事者のろう運動への関わり方を見直し、聴覚障害者福祉事業と運動が一体となった体制を構築したり、デフリンピックの主導開催が実現すれば必然的に聞こえない職員が増え、運動のための人材も充実することになりますので、当連盟事務局長をはじめとする高齢化した団体・施設の管理責任者の後任確保などが進むことが期待できます。

おわりに

以上の運動方針を進めていくためには何度も申し上げたように「学習」が肝要になります。福祉制度や施設の運営だけでなく、オンライン化を進めるためのICT等の学習、新規施策の学習、行政や議員との関わり方の学習など学ばなければならないことはたくさんあります。
2021年度の運動方針のキーワードは「学習活動」です!

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