障害者福祉施策に関する公開質問状とその回答(2025年6月都議選直前実施)

2025年6月22日投票予定の東京都議会議員選挙を前に、聴覚障害者制度改革推進東京本部として、立候補予定者・各政党・会派に対して、私たちきこえない人、きこえにくい人たちの関心が高いテーマについてお考えをお尋ねするアンケートを実施しました。
以下に立候補予定者・各政党・会派にお送りした依頼文、アンケート本文、回答を掲載します。

掲載順は到着順です。回答がなかった設問は(未回答)としています。
各党の考え方を理解し、皆様が投票する際の参考としていただければ幸いです
※当委員会が連絡先を把握できた範囲でお送りしています。
                            2025年6月吉日

2025年6月吉日

○○党東京都議会議員選挙対策担当者 殿
                              聴覚障害者制度改革推進東京本部
                              (東京都聴覚障害者福祉対策会議)
                                代 表  粟 野  達 人

都議会議員選挙立候補予定者・政党に対する
聴覚障害者関連政策 公開質問について

 私たち「聴覚障害者制度改革推進東京本部」は、東京都内の聴覚障害当事者とその支援者の7団体によって構成し、聴覚障害者福祉にかかわる施策をより良いものにするべく活動しております。
 さて、都議会議員選挙の日程が6月13日告示、6月22日投開票と発表されました。選挙を前に、当本部では各候補者所属政党のみなさまに聴覚障害者に対する政策についての考えをお聞きしたく、公開質問を実施することにいたしました。
 聞こえる人は、テレビ報道や街頭演説等で立候補予定者の政策や考えを知ることができますが、手話通訳や文字情報の付与が完全ではないため、聴覚障害者は情報を得にくい状況におかれています。
 聴覚障害者のおかれている状況をご理解いただき、私たちの関心が高いテーマについてお考えを伺う下記の公開質問へのご協力をお願いいたします。
ご回答結果(無回答も含め)は告示前の日付で当本部構成団体のホームページ上に掲載させていただきます。
 告示を間近に控えご多忙のおりとは存じますがどうぞよろしくお願い致します。

【本文】
東京都議会議員選挙立候補予定者・政党に対する聴覚障害者関連政策 公開質問

質問事項
1 東京都障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例制定について
 私たちは障害者権利条約の理念をもとに、障害者施策に当事者が直接参画できる体制の確立、特に聴覚障害者においては、情報アクセスとコミュニケーションの権利保障、言語としての手話普及等を実現するため、情報・コミュニケーション法、手話言語法等の法整備を推進し、東京都および区市町村における条例化を求めてきたところです。このたび国における情報アクセスコミ施策推進法に続き、今年3月に東京都障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例が制定されました。7月1日施行予定となっています。
東京における同条例制定について、貴殿はどのようなご見解をお持ちですか。

2 東京都の意思疎通支援事業実施について
東京都は、障害者自立支援法施行以後、手話通訳者派遣事業や要約筆記者派遣事業を段階的に廃止し、都民である聴覚障害者を支援する情報保障の制度が後退してしまいました。区市町村主体の派遣制度はありますが、都内の町村では事業実施は自治体の裁量となっています。総合支援法の中では必須事業とされていますが、事業を実施していない自治体もあり、派遣要綱や受け付け方法・条件等も地域によってまちまちですので、地域格差がかなりあります。
平成25年4月に施行された障害者総合支援法で、東京都は広域派遣事業を実施することになり、東京都が広域性・公益性があると判断した一部の会合で派遣制度が復活しています。ですがこの制度でも依然として通訳を必要とする場へ適切な通訳者が派遣されない、異なる居住地域の聴覚障害者が集まるグループの活動や、会議や行事への派遣ができないなどの問題が残り、利用しにくい状況となっておりますまた、聴覚障害者個人の緊急性や専門性に対応した派遣、事業を実施していない区市町村を補完する派遣は東京都の事業としての実施が必要です。
貴殿は、東京都の必須事業として定められた手話通訳者・要約筆記者派遣事業を、より聴覚障害者のニーズの求めに応じ、専門性や緊急性等、区市町村の事業を補完するための意思疎通支援事業を充実させる考えがありますか。

3 選挙時の情報保障について
聴覚障害者の参政権は、十分保障されているとはいえません。 現行の公職選挙法では、街頭演説会等に必要な字幕や手話通訳、要約筆記といった情報保障手段は部分的にしか認められていません。聴覚障害ゆえに不公平な状況にあり、基本的人権が奪われています。
このたびの選挙において、個人演説会、選挙公報など貴殿の政見を訴える場面において、手話通訳、字幕、要約筆記、盲ろう者への配慮等の聴覚障害者・盲ろう者に対する情報保障や配慮を実施されますか?

4 FAX及びメールによる選挙運動について
平成25年の法改正でインターネット選挙運動が認められるようになりました。しかし、聴覚障害のある候補者が電話の代わりにFAXで投票依頼をすること、聴覚障害を持つ有権者がメールやFAXで他の有権者の投票依頼することは現在も認められておりません。(※FAXは印刷した文書図画と同じように見られているようです。)聴覚障害者にとって、FAXやメールは選挙運動におけるアクセシビリティとして大変重要な連絡手段ですが、認められてない状況があります。
上記について、貴殿はどのようなご見解をお持ちですか。

5 公職選挙法が抱える問題について
 上の項目4にも関わりますが、公選法のルールには聴覚障害者や関係者の参政権活動を妨げるおかしな内容が多々あります。文書図画のルールの他にも、テレビの政見放送の手話や字幕付与がなかったり、ついても候補者・政党の任意であったりと、政令や規則の制約を受けています。
 手話通訳者や要約筆記者が選挙期間中に通訳活動をするときは、本来中立であるべきですが、制度上は候補者や政党の運動員扱いになっています。
 障害者の参政権を制約するこれらの問題について、貴殿はどのようなご見解をお持ちですか。

6 その他
聴覚障害者福祉施策について、貴殿が特に取組みたいと考えていることをお聞かせください。
 

以上の内容について、6月12日必着で下記の連絡先にご回答をお願いいたしますメールでもFAXでも結構です。

              連絡先  〒150-0011 渋谷区東1−23−3
                   東京聴覚障害者自立支援センター
                  公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構
                  東京都聴覚障害者連盟内
                  聴覚障害者制度改革推進東京本部
                  (東京都聴覚障害者福祉対策会議)
                   TEL 03-5464-6055 FAX 03-5464-6057
                  E-mail: office@deaf.to kyo

(構成団体)
公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構・東京都聴覚障害者連盟
認定NPO法人東京都中途失聴・難聴者協会
認定NPO法人東京盲ろう者友の会
東京都手話通訳問題研究会
特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会東京支部
東京都手話サークル連絡協議会 
東京都要約筆記サークル連絡会

以上

【回答】

●都議会公明党
●田の上いくこ
●れいわ新鮮組
●東京都議会立憲民主党
●日本共産党東京都委員会
●東京・生活者ネットワーク(都議会生活者ネットワーク)
●都民ファーストの会
●東京都議会自由民主党

 

●都議会公明党

1.
「東京都障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例」については、2023年8月から都議会の中で超党派によるPTを通算16回、有識者からの講演並びに当事者団体等からのヒアリングを踏まえた課題認識と議論を重ねて、全会一致で制定されたものです。本条例では、障害の有無、年齢等に関わらず必要とする情報の入手と活用、そして滞りなく意思を伝えあえることを全ての人の権利とするため、4項目にわたる基本理念を明確にしたうえで、その施策を総合的に策定し実施することを都の責務としており、事業者と都民の責務と併せて区市町村その他の関係者の協力努力義務も規定されていますので、この条例制定は、その総合的な施策展開の重要な第一歩となったと評価しています。デフリンピックの東京開催を目前に控え、都としても障害者の意思疎通等の施策推進に一層取り組んでいくことを求めてまいります。

2.
ご指摘の通り、意思疎通支援事業の実施については、障害者総合支援法において、当該事業は、住民に身近な区市町村が主体となり実施する事業として位置づけられており、都と区市町村の役割分担が前提となっているため、都の広域行政の枠組みを広げていくことも限界がありますが、区市町村ごとに行うことで、方法・条件等も地域によってまちまちとなり、地域格差が生まれていることも事実ですので、この格差是正について検討が必要です。区市町村事業では異なる居住地域の聴覚障害者が集まるグループの活動や、会議や行事への派遣ができないなどの問題があり、これらを広域的な事業として位置づけていくべきことなど、充実に向けた働きかけを行っていきたいと考えています。同時に、区市町村が行うべき事業をいかに側面から支援していくかもカギになると思います。このため、都議会公明党としては、ネットワーク政党としての持ち味を発揮して、区市町村議員との連携協力を強めるととともに、複数の区市町村の境界を越えて手話通訳者や要約筆記者の派遣を必要とする都民が参加する場合における都が先行して一時立て替えなどをして関係する区市町村間での事後的な負担調整を行う制度の検討など実質的な事業の充実強化を働きかけていく取組みを進めていきたいと考えています。

3.
選挙公報を作成する都選挙管理委員会では、選挙公報の点字版や音声版などを作成し、希望する方へ配布するとともに、選挙時に開設する特設サイトには、音声版も掲載しています。
一方、個人演説会や街頭演説等については、選挙広報の量的な平等性を担保するため、公職選挙法第143条では選挙事務所、選挙運動用自動車、個人演説会場などで掲示できる文書図画には一定のルールが設けられており、その部分では聴覚障害者の皆様にとっては情報保障手段が限られているのが現状です。理論的には大画面での掲示の代わりに、その内容を写して個別に配布するという方法も考えられますが、実際に行うのは不可能と思われます。スマホ等の使用ができる方がいれば、「UDトーク」という専用の翻訳アプリをダウンロードして字幕や要約筆記に代替できる方法もありますので、それを活用してスマホが使えない方と見ていただくこともできます。今後さらに選択肢を広げる法改正の検討などについても、都の選挙管理委員会に対してこの要望を伝えていくとともに、率先して手話通訳者や要約筆記者の派遣事業の活用や、その場で演説内容を文字化して情報提供を図る工夫に取り組みたいと思います。

4.
FAXによる投票依頼も、現行法上は上記の理由と同様に文書制限が設けられており、なりすましを防ぐ必要もあることから、聴覚障害者に限定したFAXの利用は難しい状況にあります。当面は現在許されているライン等のSNSを活用した方法で進めていただきながら、事前に本人確認のうえ登録して利用できる公的ポータルサイトを設けて投票依頼を行える仕組みの開発やその周知を図る工夫など、聴覚障害者が使い易い方法の導入についても引き続き要望していきたいと思います。

5.
ご指摘のように、現行の公職選挙法では、選挙の公正、候補者間の平等を確保するため、選挙運動期間中に行われる文書図画の頒布・掲示その他の選挙運動について一定の規制が行われています。
一方で、そのことによる聴覚障害者や関係者の参政権活動に制約となって現れることのないように手立てを講ずる必要性もあります。一つの重要な理念を法令で具体化する時、もう一つの重要な理念を現実には阻害するケースとなって現れる例だと思われます。どちらも両立しうる方策の検討を求めていきたいと思います。通訳活動における中立性の確保も重要な課題です。この点も、思想・信条の問題を目に見える形で法規定することの難しさを示していると思われますが、ご指摘のとおり、聴覚障害者が候補者の主張などを把握する際に活用する手話通訳者や要約筆記者は、本来、その中立性を前提としたものでなければ誰もが安心して利用することが難しいものであります。私共がその点への社会的理解の促進に率先して取り組むとともに、国に対しても、中立性の確保に少しでも近づけるための方策の検討を要望していきたいと思います。

6.
デフリンピック大会開催の年でもあり、その盛り上がりを一過性のブームで終わらせることなく、かつ経費的にも持続可能な都予算の範囲の中で、大会時の興奮を日常的な関心の高まりへと昇華する取組が必要です。大会後もデフスポーツをさらに発展させ、共感の輪を社会的に一層広げていくためには、みるカフェでも紹介されていたような民間の先進技術を効果的に活用して、障害の有無を乗り越える取組が必要です。
あわせて、技術力だけでなく、企業や事業所などがそれぞれの得意分野を生かし合って、競技団体等に対する多種多様で幅広いサポートの仕組みを構築することができれば、デフスポーツだけでなく、パラスポーツ全体の振興につながるものと考えます。
デフリンピックを契機に、デフスポーツを含めたパラスポーツに対する民間部門からの支援の取組を資金面からの貢献も含めて、より一層充実させていくべきと考えています。

 

●田の上いくこ
1.
手話言語条例につづき、情報コミュニケーションに特化して条例をつくりたいと年度をまたいで取り組んできた課題です。
中途障がいの方は、必ずしも手話になじんでいるわけではなく、障害の種類や程度に応じた意思疎通等の重要性をうたった条例です。
2.
いつも会派の予算要望に取り入れてきた事項です。手話通訳者、要約筆記者派遣事業を充実させるため取り組みます。
3.
情報保証や配慮を実施します。
4.
ご意見をいただきながら、国へ要望書を提出するなど検討します。
5.
上記と同じですが、現状に合った公職選挙法の改正が望まれます。国へ要望書を提出するなど検討します。
6.
手話やコミュニケーションがもっと進み、障がいがある人もない人もお互いにコミュニケーションが取れるよう必要な支援に取り組ませていただきます。

 

●れいわ新鮮組
1.
情報伝達の方法は様々であり、誰もが平等に意思疎通を図ることが出来る制度を整えることが必要です。障害は個人が努力して克服するものではなく、社会側の仕組みを変えることで障壁を取り除くことが求められます。この条例は、誰もが等しく社会参加を享受できるための一歩であると期待します。

2.
地域生活支援事業(自治体事業)である聴覚、言語機能、音声機能、視覚等の障害のある人に対する意思疎通支援(手話通訳、要約筆記、点訳等)の派遣は、官民問わず保障できるよう、本来は国が整備を進めるべきと考えます。東京都は必須事業としていますが、区市町村において差が出ているのは望ましいことではありません。居住場所や活動場所において地域差が出ないよう、東京都は支援していくべきと考えます。

3.
今回の東京都議会議員選挙においては、街頭活動での手話通訳やタイムリーな字幕補助を導入することは難しいですが、公開動画には必ず字幕を付けます。
代表が街頭演説を行う選挙においては、状況に応じて手話通訳といった情報保障を行うことはあります。
手話の可能な人材の確保、字幕補助装置の簡易化が進みコストも下がれば、自治体選挙においても導入可能であり、今後検討していきたいと考えます。

4.
公選法を不平等な投票依頼方法から平等な方法に改正すべきと考えます。通常においても FAX やメールを意思疎通手段としている方々にとって、選挙において不可能というのは、差別にもあたると考えます。FAX・メールも解禁すべきと考えます。

5.
参政権は等しくあるべきですので、政党や候補者任せではなく国がその機会を保障する仕組みが必要と考えます。聴覚障害をお持ちの方に関しては、手話通訳や字幕補助装置の手配または公費負担制度など取り入れられるよう制度の改革が必要です。

6.
緊急時における情報アクセシビリティを保障するために、公共交通機関や駅、役所などに電光掲示板の設置や手話通訳者の配置などを必須にし、国がその費用を補填します。
字幕補助装置の性能は進歩しています。民間においても導入できるよう、費用補填できるよう制度を整えます。
手話を日本の言語として定める法律を制定し、手話言語の普及・保存・研究等を行うことで手話文化の振興を進めていきます。
聴覚障害への理解促進のための活動を進めます。ひと口に聴覚障害と言っても、聞こえ 方、伝え方は様々です。全く聴こえない、同じ言葉でも聞こえ方が異なる、音の高低に左右される、補聴器を付けているが言葉としては理解しづらい、など障害は様々であり、意思疎通手段も手話、筆談など様々です。WHOによると、聴覚障害者は増加する予測が立てられており、障害への理解と、手話の普及活動を支援することが必要です。

 

●東京都議会立憲民主党
1.
今期、「手話言語条例」及び「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例」が可決・成立したことは、貴団体の運動と粘り強い働きかけの成果であると敬意を表するものです。こうした運動、働きかけがあったからこそ、私たちの呼びかけで、超党派によるWTを設置することができました。
ご質問の条例については、名称に「障害者」の文字が入りましたが、私たちは、障害者手帳 の有無にかかわらず、聞こえにくくなった高齢者など、情報コミュニケーションやアクセシビリティーに困難を抱える全ての都民等が、誰もがひとしく情報を取得、利用し、意思疎通を図ることができるよう取り組んでいきたいと考えています。
2.
あります。区市町村によってサービス提供や質に大きな格差がでないよう、
専門性が高く、 緊急時にも利用ができる体制を構築するために取り組んでいく必要があると考えます。生活 に密着したサービスは、基礎自治体に提供する義務があり、利用者に不利益となるようなサービス未実施はなくしていくべきです。東京都においても、事業を実施しない自治体をカバーすることはもちろん、実施に向けて人の派遣やノウハウの提供など、あらゆる手段を尽くし、未実施という選択肢がないように取組むべきと考えます。
3.
選挙初日のいわゆる第一声については、手話通訳をお願いする予定であり、また、政見放送においても、手話通訳及び字幕によって、耳の聞こえにくい方への配慮をする予定です。
個人演説会は、会そのものを実施する、実施しないも含めて各候補者の判断になりますが、 その他の街頭演説なども含めて、可能な限り、情報保障や配慮がなされるよう、取り組んでいく考えです。
4.
聴覚に障害のある方にとって、電話等の音声による呼びかけの代替手段として、FAXやメール等の文字による呼びかけを認めることは、重要なことであると考えます。
公職選挙法も、この間、一部が改正されていますが、障害者への配慮をはじめ、合理的配慮が十分に担保されているとは言えません。
選挙権、被選挙権の行使、選挙運動は民主主義社会にとって、大変重要な権利のひとつです。こうした観点から、東京都独自に何ができるのかも含め、検討していくべきだと考えています。5.
「法の下の平等」が守られていないと考えています。
テレビの政見放送における手話は、規則改正などの対応が求められます。
また、街頭演説などに際しても、手話通訳や要約筆記の数が少ないことに加え、その費用も候補者の自己負担であることなどから、候補者の主張を聴覚障害者に周知することが難しい状況になっています。
こうした認識のもと、選挙における「法の下の平等」が守られるよう国政とも連携しながら 制度改正等に取り組んでいきたいと考えています。6.
今年11月15日から、いよいよ「デフリンピック東京2025デフリンピック大会」が開催されます。
私たちは、これをひとつの契機として、情報保障の取り組みを大きくレベルアップさせるとともに、聴覚障害に対する都民・国民の理解をより一層進め、互いに尊重し合う社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

 

●日本共産党東京都委員会
1.
今年3月の都議会本会議で、東京都障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する条例が全会一致で可決・成立しました。同条例は、日本共産党都議団を含む超党派のプロジェクトチームで検討を重ねてきたものです。
障害があってもなくても、また、どのような障害であっても、必要な情報を同じように受け取ることができて、コミュニケーションを図れるということは誰にも保障されるべき権利です。この権利が同条例の前文に位置づけられたことは、たいへん重要です。
また同条例は、障害者や都民の方々の意見を踏まえて、実施状況を確認していくこと、そして、3年後の見直しも障害者の方の意見を聞くことを位置づけたことも、たいへん重要です。同条例は作って終わりではなく、同条例を使って具体的にどう改善していくのかが重要です。皆さんと都民の意見をよく聞いて、ご一緒に取り組みを進めていく決意です。
2.
情報保障の地域間格差をなくすことは重要だと考えます。
東京都が広域性・公益性を理由に派遣の範囲を狭く限定している現状は改めさせる必要があります。障害者が障害者でない人と同じように意思疎通をできるようにするという考え方を基本に、幅広く利用できる制度とするべきです。
また、個人に対する緊急性や専門性が求められる場合の派遣や、事業を実施していない区市町村を補完する派遣も行うべきです。
3.
障害者が障害者でない人と同じように選挙に関する情報にアクセスできるようにすることは、参政権を保障する上で重要です。
演説会で手話通訳や盲ろう者向け通訳・介助、音声ループの活用、作成する動画に字幕をつける、などの取り組みを可能なかぎり進めます。
4.
FAXやメールでの投票依頼が制限されていることは、聴覚障害者にとってとりわけバリアとなっており、参政権が侵害されています。そもそも選挙運動は自由であるべきであり、公職選挙法の「文書活動の規制」を撤廃し、FAXやメールの利用などを自由にするべきだと考えています。
5.
障害者権利条約、障害者差別解消法により定められた障害のある人の投票における環境整備と合理的配慮を行い、障害者の参政権を保障すべきです。日本共産党は、ご指摘にある、選挙の候補者や議員活動での介助、代読、手話通訳などの合理的配慮を保障することを、政府に対して強く求めています。
6.
軽度・中等度の難聴者への補聴器購入費に対する公費助成の実現に取り組みます。日本では公費助成の対象者が重度の難聴者に限られているため、難聴者の補聴器利用率は欧米諸国と比べて非常に低くなっています。日本共産党は、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション法が2022年5月の衆院本会議で全会一致で可決・成立したことを踏まえ、同法成立を機に加齢性難聴の対策も進め、補聴器修理費用も含めた国の支援を求めています。より幅広く助成を行うことで、難聴者の聞こえへの支援を強化します。
東京都内では独自に補聴器購入費助成を行う自治体が増えていますが、未実施の自治体も残されています。また、実施しているところも年齢制限、所得制限が残っていたり、金額が少なかったりという課題を抱えているところが少なくありません。都による区市町村への補助を拡充し、住む場所にかかわらず、補聴器による聞こえの支援を受ける権利が保障されるようにします。

 

●東京・生活者ネットワーク(都議会生活者ネットワーク)
1.
この条例は、2022年の手話言語条例を踏まえてできたものです。どちらも議員提案の条例であり、生活者ネットワークも提案者になりました。今後は、条例を活用してコミュニケーションツールが十分に使えるようにしていく必要があります。
2.
手話通訳等の派遣は、地域では当該自治体が、広域の場合は東京都が実施することになっていますが、実際には、聴覚障害者団体以外の市民団体が開催するイベントへの派遣が実施されなかったり、都が派遣するためのハードルは高いと聞いています。条例の施行もあり、今後は活用しやすくしていく必要があると考えます。
3.
一部の街頭演説で手話通訳を実施する予定です。対応できる場面を増やしていくことは課題と思っています。
4.
ご指摘のとおりだと思います。
5.
上記4もそうですが、公職選挙法の規定はおかしいところや時代に合わないところがどんどん出てきています。音声変換など新たなアプリ・機器も活用して、政治参加を広げることが重要であると考えます。
6.
災害時の情報伝達に課題があるため、移動中など状況に応じた対策に取り組みます。
●都民ファーストの会
1.
都民ファーストの会も提案者となったこの条例の制定は、誰一人取り残さない情報保障を具現化する重要な一歩です。特に、聴覚障害者をはじめとする情報・コミュニケーションに困難を抱える方々の権利保障において、東京都で先進的な取り組みを示したことは意義深いものであると認識しています。条例の7月1日の施行に向けて、基礎自治体との連携強化による施策の均質化、手話言語の普及促進、デジタルを活用した情報アクセス環境の整備など実効性のある施策を展開し、条例の趣旨が真に実現されるように取り組んでまいります。
2.
東京都の意思疎通支援事業の充実を積極的に推進すべきと考えます。ご指摘の地域格差や広域派遣事業の課題は、聴覚障害者の社会参加を阻害しかねない問題です。都事業として、区市町村で対応困難な専門性・緊急性の高い場面への派遣体制整備、事業未実施自治体への後押し、異なる地域からの参加者がいる活動への派遣拡大など、都内全域での均質なサービス提供を目指します。通訳者の育成・処遇改善による人材確保も重要課題として取り組み、予算措置も含めて都民の情報アクセス権を保障する東京を実現してまいります。
3.
聴覚障害者・盲ろう者の皆様にも等しく政治参加の機会を保障することは、候補者としての責務であると考えます。また党主催の勉強会などでも手話通訳や要約筆記を行ってきました。現行の公職選挙法の課題はありますが、動画配信の際の字幕の挿入、ウェブサイトのアクセシビリティ向上など可能な範囲で最大限の配慮を行い、すべての有権者が政策を理解し、投票行動を行える環境づくりに努めてまいります。
4.
公職選挙法を改正する必要があると考えます。都議会から国政への働きかけを通じて、公職選挙法の改正を求めてまいります。また、東京都として可能な範囲での環境整備や、他の自治体との連携による制度改善の要請も行ってまいります。すべての都民が平等に政治参加できる社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
5.
公職選挙法を改正する必要があると考えます。都議会から国政への働きかけを通じて、公職選挙法の改正を求めてまいります。政見放送時の通訳や字幕の付与による情報保障の義務化、通訳者を公的な情報保障支援者と位置付けること、中立性を確保した制度設計などが必要であると考えます。すべての都民が平等に政治参加できる社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
6.
都民ファーストの会は2025年東京デフリンピック開催を契機として、聴覚障害者福祉施設を一層向上させてまいります。大会レガシーとして手話言語の普及拡大、聴覚障害者スポーツ環境の継続的整備、国際交流拠点としての東京確立を目指します。重点施策としては、障害者福祉施策の所得制限撤廃、都庁での手話通訳体制拡充、デジタル技術活用の遠隔通訳システムの展開、緊急時情報伝達の多様化を推進します。また、手話言語を活用した教育環境整備、企業啓発による職業選択拡大、文化・芸術活動参加機会の創出にも取り組みます。デフリンピック開催都市として、聴覚障害者が真に活き活きと暮らせる東京の実現に全力で取り組んでまいります。
●東京都議会自由民主党
1.
障害者による情報の取得及び利用ならびに意思疎通に係る施策を総合的に推進することにより、東京で暮らし、東京を訪れる全ての人が、障害の有無によって分け隔てなく互いに意思を伝え、理解し、尊重しあいながら安心して生活することができる共生社会を実現する必要があります。
2.
東京都の手話通訳者等の派遣事業都等、聴覚障害者の支援を補完するため、意思疎通支援者養成講習会の充実を図る必要があると考えます。
3.
各種選挙において、各候補者の政策をアピールする場として、個人演説会や街頭演説会等がありますが、今回の都議選においても、障害者に配慮した選挙活動を行うことが重要と考えます。
4.
公職選挙法等の制約はありますが、候補者誰もが、選挙活動がしやすく、政策を訴えることができる状況になることが、必要であると考えます。
5.
質問事項4と同様
6.
東京都手話言語条例及び東京都障害者情報コミュニケーション条例の理念・目的を遵守し、共生社会実現に向けた取組みを推進してまいります。
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