聴覚障害者関連政策アンケート(2014年2月都知事選挙直前実施)

2月9日投票予定の都知事選挙を前に、聴覚障害者制度改革推進東京本部として、各立候補者に対して、聴覚障害者の福祉施策や情報・コミュニケーション支援についてお尋ねするアンケートを実施しました。

以下に各立候補者にお送りした依頼文、アンケート本文、各立候補者からの回答を掲載します。
掲載順は到着順です。回答がなかったところは(未回答)としています。

各党の考え方を理解し、皆様が投票する際の参考としていただければ幸いです。

2014年1月21日

2014年1月21日

都知事候補
○○殿

聴覚障害者制度改革対策東京本部
(東京都聴覚障害者福祉対策会議)
代 表  宮 本  一 郎
(公印省略)

都知事選立候補予定者に対する聴覚障害者関連政策アンケートのお願いについて

 

 私たち「聴覚障害者制度改革推進東京本部」は、聴覚障害当事者とその支援者の8団体によって構成し、聴覚障害者福祉に係わる施策をより良いものにするべく活動しております。
 さて、都知事選挙が2月9日投票予定とされています。選挙を前に、東京都聴覚障害者福祉対策会議では、各候補者に聴覚障害者に対する政策についてのお考えをお聞きしたく、アンケートを実施することになりました。
 聞こえる人は、政見放送やテレビ報道で各政党や立候補予定者の政策や考えを知ることができますが、手話通訳や字幕の付与が完全ではないため、聴覚障害者は情報を得にくい状況におかれています。
 聴覚障害者のおかれている状況をご理解いただき、私たちの関心が高いテーマについてお考えを伺うアンケートへのご協力をお願いいたします。ご回答結果(無回答も含め)は告示前に構成団体のホームページ上に掲載させていただきます。
 告示を控えご多忙ところ直前の依頼で申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願い致します。

【アンケート本文】
都知事選立候補予定者に対する聴覚障害者関連政策アンケート

質問事項
1 意思疎通支援事業の実施について
東京都は、障害者自立支援法施行以後、手話通訳者派遣事業や要約筆記者派遣事業を段階的に廃止し、都民である聴覚障害者を支援する情報保障の制度が後退してしまいました。
現在は、区市町村のみの事業となり、都内の町村では事業を実施していない自治体があり、事業実施は自治体の裁量により実施されています。
そのため、実施要綱の内容や、派遣内容、派遣場所、派遣対象者等が異なり、通訳の必要とする場への適切な通訳者が派遣されなかったり、異なる居住地域の聴覚障害者が集まるグループの活動や、会議や行事への派遣ができない、他県への派遣が困難になるなどの問題が起き、利用しにくい制度となっております。
 昨年4月に施行された障害者総合支援法により東京都と区市町村の役割が明確化し、都の意思疎通支援事業が必須となったため、次年度予算で事業を実施することになりましたが、広域派遣の事務費と団体派遣のみであり、個人への派遣は今まで通り区市町村のみとなっております。
貴殿は、個人も含めた手話通訳者・要約筆記者派遣事業を実施し、より聴覚障害者のニーズに応じ、専門性や緊急性等、区市町村の事業を補完する支援事業を充実させる考えがありますか。

2 政見放送への手話通訳・字幕、選挙時の情報保障について
聴覚障害者の参政権は、十分保障されているとはいえません。 現行の公職選挙法では、テレビの政見放送には候補者が手話通訳を選択できますが、字幕がつきません。また街頭演説会等に字幕や手話通訳、要約筆記といった情報保障手段が部分的にしか認められていません。聴覚障害ゆえに不公平な状況にあり、基本的人権が奪われています。
このたびの選挙において、政見放送には手話通訳を依頼しますか? また個人演説会、選挙公報など貴殿の政見を訴える場面において、手話通訳、字幕、要約筆記、盲ろう者向け通訳・介助等の聴覚障害者・盲ろう者に対する情報保障を実施されますか?具体的に教えてください。

3 インターネット選挙運動(以下、「ネット選挙」とする)について
昨年の法改正でネット選挙が認められるようになりました。
従来はFAXやメールでの選挙運動等は認められなかったことを鑑みると、選挙に関するアクセシビリティとしては大変有効であると考えます。しかし、電話の出来ない聴覚障害者の候補者がFAXやメールで投票依頼をすることは現在も認められておりません。
上記について、貴殿はどのようなご見解をお持ちですか。

4 障害者施策協議会の設置について
聴覚障害者はこの他にも、教育、就労、福祉の問題で多くの要求を持っています。都知事と障害者が対話する場として、「懇談会」を設ける他、多くの障害者と施策を協議する障害者施策協議会を設ける必要があると考えています。貴殿はどう思われますか。

5 手話言語条例について
 私たちは障害者権利条約の理念をもとに、障害者施策に当事者が直接参画できる体制の確立、聴覚障害者においては、情報アクセスとコミュニケーションの権利保障、言語としての手話普及等を実現するため、手話言語法等の法整備を求めているところです。これを受けて、鳥取県では「手話言語条例」が制定されるなど、全国的な取り組みが進められていますが、東京都でも当事者の要望にそって「手話言語条例」を制定する意志はあるでしょうか。

6 障害者差別解消法について
昨年4月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が国会に提出されました。障害者差別解消法における、情報アクセスやコミュニケーションの保障への「合理的配慮」、紛争解決にあたる機関の在り方等について、貴殿のご見解をお聞かせください。

7 聴覚障害者への災害時支援について
聴覚障害者は震災時の災害時には、音声によるニュースが分からなかったり、手話が中心で文章を早く読み取ることのできないものは字幕の内容が理解できなかったりします。聴覚障害者への災害支援として手話通訳と文字による情報保障は不可欠ですが、具体的にどのように支援する考えがあるかお聞かせください。

8 その他
聴覚障害者福祉施策について、貴殿が特に取組みたいとされていることをお聞かせください。

 
 以上の内容について、1月22日必着で下記の連絡先にご回答をお願いいたします。

 

連絡先 〒150-0011 渋谷区東1−23−3
                 東京聴覚障害者自立支援センター
                 公益社団法人 東京聴覚障害者総合支援機構
                        東京都聴覚障害者連盟内
                 聴覚障害者制度改革推進東京本部
                 (東京都聴覚障害者福祉対策会議)
        TEL 03-5464-6055 FAX 03-5464-6057
                 E-mail: tokyo@deaf.to

【公開質問状に対する回答】
※いずれも原文のまま掲載しています。
※以下、回答到着順です。

1.ますぞえ要一
2.宇都宮けんじ
3.鈴木たつお

 

ますぞえ要一

1.意思疎通支援事業の実施について
手話通訳者等の派遣事業は、障害者自立支援法で区市町村地域生活支援事業の必須事業として位置付けられ、それは障害者総合支援法においても同様です。
障害者総合支援法には、障害者等の支援に関する施策を段階的に講じていくため、施行後3年を目途として検討すべき事項が定められており、その検討項目の一つに「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する 支援の在り方」が含まれています。
東京都においてこれまでも、「障害者が地域で安心して暮らせる社会」「障害者が当たり前に働ける社会」「すべての都民が共に暮らす地域社会」の実現を目指して、計画的に障害者施策の充実に取り組んできたと聞いておりますが、前述のような国の動向にも的確に対応しつつ、区市町村や各事業者など関係各位とも連携しながら、更なる障害者施策の充実に取り組んでいきたいと考えます。

2.政権放送への手話通訳・字幕、選挙時の情報保障について
障害者の方々に対して、必要な情報を適宜・的確に提供することは非常に重要であると考えています。
聴覚障害者等に対する情報共有として、既に文字放送や選挙公報の点字訳等を行っていると聞いていますが、私の政見放送には、手話通訳を依頼いたしました。個人演説会や街頭演説の対応については、今後の障害者差別解消法の運用方針なども踏まえ、検討課題とさせて頂きます。

3.インターネット選挙運動について
誰もが必要な情報を得て、参政権を行使して頂くことが極めて重要であると考えています。
聴覚障害者の皆さんが、多様な情報伝達方法により選挙運動等が可能となるよう今後、国が示す障害者差別解消法の具体的内容(政令等)を踏まえながら、改善に取り組んでいきたいと考えています。

4.障害者施策協議会の設置について
障害者政策の策定及び実施に当たっては、障害者や関係者の意見を聴き、反映していくことが重要であると考えています。
そのため、障害者基本法に基づく東京都障害者施策推進協議会やその他様々な機会をとらえて、障害当事者の参画を促すなどにより、意見等を把握し、政策立案に活かしていきます。

5.手話言語条例について
手話が言語であることは、障害者の権利に関する条約においても、また、わが国の障害者基本法においても明記されており、聴覚障害をもつ皆さんにとって、重要なコミュニケーションの手段であるとの認識に基づき、都民、国民に対して手話への理解を深め、手話を普及促進していくことが重要であると考えています。
そのためには、鳥取県のような手話言語条例も一つの方法であるとは思いますが、私は国に働きかけながら、都はもちろん全国の聴覚障害をもつ皆さんの情報アクセスとコミュニケーションの向上に努めていきたいと考えています。

6.障害者差別解消法について
昨年6月に障害者差別解消法が公布され、平成28年4月の施行までに、「不当な差別的取扱い」や「合理的配慮」の具体的な内容について、国が示すこととなっています。
今後、国の動向も踏まえ、差別をなくすための取り組みについて、具体化していきたいと考えています。

7.聴覚障害者への災害時支援について
聴覚障害者への災害支援として、平常時の機能が使える場合は障害者総合支援法に基づく手話通訳者派遣事業等により、手話通訳者等を派遣します。被害が大規模で地域内の体制では対応できない場合は、災害救助法に基づく通訳者等の派遣や、行政による派遣により対応しきれない部分については、手話ボランティアの活用が必要であると考えています。
避難所においても、聴覚障害者に対する音声やボードを活用した情報提供を行う必要があると考えます。情報保障を含め、障害者の災害時支援について、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

 

宇都宮けんじ

1.意思疎通支援事業の実施について
手話通訳者、要約筆記者派遣事業は聴覚障害者の情報保証として大切であると認識しておりますので、区市町村の事業を補完する支援事業について、ぜひ前向きに検討したいと思います。

2.政権放送への手話通訳・字幕、選挙時の情報保障について
今回、政見放送での手話通訳は民法、NHKともにつけております。
また、希望政策フォーラムという、政策についての対話集会を2度(1月12日と20日)に行いましたが、その際は二回とも字幕を付けました。
1度目は急だったので、残念ながら手話通訳の依頼が間に合いませんでしたが、2回目は手話通訳付きで行いました。

選挙広報に限らず、都の広報や関連の公的情報の点字訳、テープ訳を拡充するべきだと思います。

3.インターネット選挙運動について
お尋ねの件は、電話のできない聴覚障害者にとって選挙活動が制限されることになると認識していますので、改善が望まれると思います。
これは同時に、選挙の際に、健常者が聴覚障害者の政治的見解を知ることができないという意味でもあります。
民主主義の観点から言っておかしなことだと思っております。

4.障害者施策協議会の設置について
障害者との懇談会について前向きに検討したいと思います。

5.手話言語条例について
手話言語条例については、残念ながら勉強不足でありますので、今後障害の当事者のご意見を聞きながら前向きに検討していきます。

6.障害者差別解消法について
この件についても残念ながら5と同じです。

7.聴覚障害者への災害時支援について
災害における要援護者への支援は緊要の課題です。災害時に障害者への情報保障は不可欠であると認識しております。手話通訳者のボランティアや文字による情報保障の取組などを確実なものとするために障害当事者の意見をお聞きしながら進めていきたいと思います。

8.その他
聴覚障害者福祉施策については、大変申し訳ないところですがまだ不勉強なところがあると思います。このアンケート全般に言えることかもしれませんが、まだまだわかっていない部分がありますので、今後当事者の方々のご意見を聞きながら取組んでいきたいと思います。

 

鈴木たつお

1.意思疎通支援事業の実施について
公的福祉を解体し、福祉を商品の買い取りに変貌させ、福祉現場で働く労働者も非正規化する障害者自立支援法(総合福祉法)の撤廃は急務です。必要な人に必要な支援が必要であり、東京都こそ国の施策の不備を補完する責任をもつべきと考えます。

2.政見放送への手話通訳・字幕、選挙時の情報保障について
政権放送には手話通訳を依頼しました。その他の場面では、当面は有資格手話ではなく、手話ボランティアを依頼することも検討しています。

3.インターネット選挙運動について
インターネット選挙の解禁と言われていますが、承諾者のみにメール送信が許される(企業の社員名簿に対する候補者のメールは、一方的に「承諾があった」とされる可能性が高いと思われます)など、いまだに規制の幅が大きいものがあります。障害者にとっての規制はなおさらであり、実のあるシステムにしていくためにも、障害者の方々とも広く議論していきたいと考えます。

4.障害者施策協議会の設置について
障害者はもとより、教育、就労、福祉現場で働く労働者、関係者と真剣に論議して、政策を練りあげていきたいと考えます。

5.手話言語条例について
手話の言語化には様々な議論があります。さしあたって、公的手話保障の面は早急に実現しなければならないと考えています。

6.障害者差別解消法について
障害者差別解消法は、差別を生み出す根源の福祉の民営化や働く労働者の非正規化という社会のあり方の改革に至らず、団結権回復のための取り組みもなく、個人的紛争解決に切り縮められています。公的福祉の回復が先決です。

7.聴覚障害者への災害時支援について
福祉の民営化・非正規化を撤廃させ、必要な人に必要な支援・介護がいきわたる公的福祉を回復させ、安全をとりもどします。

8.その他
もちろん、情報取得手段をはじめ、就労、教育生活の安全など、障害者との団結の前進です。

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