デフリンピック等招致についての公開質問(2021年6月都議選直前実施)

7月4日投票予定の都議会議員選挙を前に、聴覚障害者制度改革推進東京本部として、各政党に対して、デフリンピック等招致についての公開質問を実施しました。

以下に各党にお送りした依頼文、公開質問状本文、各党からの回答を掲載します。
掲載順は到着順です。

各党の考え方を理解し、皆様が投票する際の参考としていただければ幸いです。

2021年6月25日

2021年6月15日

○○党東京都議会議員選挙対策担当者 殿

聴覚障害者制度改革推進東京本部
(東京都聴覚障害者福祉対策会議)
会 長  粟 野  達 人

東京都議会議員選挙立候補者擁立予定政党に対する
デフリンピック等招致についての公開質問状

 私たち公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構東京都聴覚障害者連盟は、東京都内の聴覚障害当事者団体でほぼ全ての区市に支部を持ち聴覚障害者の社会参加・福祉増進・文化学習・デフスポーツ等幅広く活動しております。
 さて、東京都議会議員選挙の日程が6月25日公示、7月4日投開票と発表されました。選挙を前に当連盟が一般財団法人全日本ろうあ連盟と共に招致活動を進めております、聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」について都議会各政党の考えをお聞きしたく、公開質問を実施することにいたしました。
 「スポーツ祭東京2013」から「2020年オリンピック・パラリンピック」まで東京都では幅広いスポーツ振興活動を行ってきており、それはスポーツだけにとどまらず、共生社会の構築やSDGs推進にも貢献しています。この公開質問がそれらの取り組みのさらなる発展に結びつくことを期待しております。
 
ご回答結果(無回答も含め)は告示前に当連盟のホームページ上に掲載させていただきます。
 告示を間近に控えご多忙のことと存じますがどうぞよろしくお願い致します。

【公開質問状本文】
東京都議会議員選挙立候補予定者・政党に対するデフリンピック等招致についての公開質問状

質問事項

1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください

 「パラリンピック」は冬季も含め何回も日本で開催されており、国民の障害者スポーツに対する理解や社会参加推進に大きく貢献しました。また、知的障害者の「スペシャルオリンピックス」も冬季大会が開催されております。
 1924年(大正13年)から始まり100年近い歴史を持つ「デフリンピック」を日本で初めて開催することができれば、障害者スポーツにおける理解と情報アクセシビリティがさらに進み、それを通して国内のダイバーシティ充実やSDGsの推進にも大きく貢献できると私たちは考えます。また、2020東京オリパラのレガシーのさらなる発展に加え開催地域における経済効果なども期待できます。
デフリンピックの開催意義について貴党はどうお考えでしょうか?

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください

私たちは2018年よりデフリンピック招致のための取り組みを続けておりますが、まだ実現しておりません。また、知的障害者のオリンピック「スペシャルオリンピックス」も長野で冬季大会が開催されたのみで、まだ夏季大会は開催されておりません。
「パラリンピック」以外のIOCが公認する障害者のための国際総合スポーツ大会を東京で開催することができれば、東京都が策定した「『未来の東京』戦略」が目指す新しい東京の姿の実現に大いに寄与できると考えます。
パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催についての貴党のお考えや、私たちとともに取り組んでいただくことについてご意見をお聞かせください。

 以上の内容について、6月22日までに下記の連絡先にご回答をお願いいたします。
 メールでもFAXでもかまいません。

連絡先  〒150-0011 渋谷区東1ー23ー3
東京聴覚障害者自立支援センター
公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構
東京都聴覚障害者連盟内
聴覚障害者制度改革推進東京本部
TEL 03-5464-6055 FAX 03-5464-6057
E-mail: office@deaf.tokyo

以上

【公開質問状に対する回答】
※いずれも原文のまま掲載しています。
※以下、回答到着順です。

●立憲民主党
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
 デフリンピックは100年近い歴史があり日本勢も活躍しています。しかし、民間の調査によればパラリンピックの認知度が100%に近いのに対し、デフリンピックは約10%と、残念ながら認知度が高いとはいえません。デフリンピックにも注目して、多<の人が選手にエールを送るようになってほしいと思います。聴覚障害者自身もデフリンピックを知らない人が多いとも聞きますので、積極的にPRすれば、多<の方がスポーツに親しむことや、デフリンピックを目指す選手が増えることに繋がると思います。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
 困難を乗り越えて技を競う障害者スポーツの魅力を伝えたい、障害を持つ多くの方にスポーツを楽しんでもらいたい、との思いは、皆さんと共通のものだと考えます。
 オリンピックとあわせて開催されるパラリンピックでの競技種目充実も望まれるところですが、東京都においては、肢体や視聴覚障害、知的や精神・高次脳機能障害の方のスポーツ環境を整え、スポーツと親しむ機会を増やしていくことも課題であると考えています。そうした中で、大きなスポーツ大会やイベントの開催は、マスコミ報道も含めて、注目を集め、知名度アップのひとつの大きな契機となるものと考えます。

●生活者ネットワーク
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
 近年、パラスポーツをはじめ、さまざまな障がいのある人たちのスポーツおよびアスリートが注目されるようになりました。スポーツを通して国際交流が深まり、共生社会の構築につながることは、意義のあることだと思います。障がい種別の競技大会は、それぞれの障がいについて理解と配慮を広げることが期待されます。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
スポーツの国際大会は交流の意義があるいっぽうで、2020東京大会に見られるように、商業主義や政治利用によってオリンピックがさまざまなひずみをもたらしている事実もあるため、招致にあたっては、その反省に立って注意が必要と考えます。
 パラアスリートのすばらしい活躍は目を見張るものがありますが、共生社会に向けで、地域での障がい者スポーツ、障がい種別を越えて楽しめるスポーツの普及に取り組むよう、議会では提案しています。

●公明党
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
 デフリンピックは、歴史と伝統のある大規模な国際大会であると認識しています。デフリンピックをはじめとした国際的な障害者スポーツ大会の開催を通じて、障がい者や障がいに対する理解が進むとともに、障がい者スポーツの普及が促進されます。こうしたことを通じて、真の共生社会が実現されると考えております。このため、デフリンピックについては、都議会公明党の予算要望の重点項目として以下のように要望しました。
 「デフリンピックなど国際的な障害者スポーツ大会の支援を含め、障害者スポーツが社会に根付くよう取り組んでいくことが重要である。東京招致に向けて、本格的な議論を行うため、2021年のブラジル開催までの取り組みについて、大会実施の主体となる競技団体等の運営体制や今後の大会招致の意向等を把握するための調査を実施されたい。またその他の国際大会についても、ヒアリング等により可能な限り情報収集に取り組まれたい。」
これに対してオリンピックパラリンピック準備局長からは次のような回答を得ました。「都は、世界レベルの競技大会も視野に入れた幅広いパラスポーツ大会の開催支援をビジョンとして掲げており、これまでも、国際大会の共催や観戦促進に取り組んでいます。令和元年度から、これまでまとまった資料がなかったデフリンピックなどの国際的なパラスポーツ大会について、基礎資料を収集・整備するための調査や大会の実施主体となる競技団体等の運営体制や今後の大会開催意向などを把握するための調査を実施しており、令和3年度も引き続き調査を行ってまいります。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
東京2020大会を契機として、障がい者スポーツの関心をさらに高めていくためには、パラリンピック競技だけでなく、聴覚障がい者、視覚障がい者、知的障がい者等による世界レベルの競技大会が開催され、都民の観戦機会が創出されることは大切です。都は障がい者スポーツ国際大会等の開催支援を行っており、こうした支援も活用し、幅広い障がい者スポーツの国際大会が東京で開催されることは重要な事と考えております。

●都民ファーストの会
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
都民ファーストの会は、デフリンピックの東京開催を支持します。
都民ファーストの会は、東京2020大会についても「パラリンピックの成功無くして、大会の成功はない」と、その考えを明確にしており、パラリンピックの成功が、デフリンピックの東京開催にもつながると考えています。
これまでも都議会における代表質問において、パラリンピック後の障がい者スポーツ振興について取り上げ、都から前向きな答弁を引き出しております。その結果、本年3月に公表された都の長期戦略「未来の東京戦略」の中においても、東京2020大会の取組等も生かしながら、「障害者スポーツの国際大会の開催を支援」との記載も含まれております。引き続き、開催支援に全力で取り組んで参ります。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
上記で述べた通り、東京都は、国際的な人権都市として、パラリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックスなどの国際障害者スポーツ競技大会の開催を支援していくべきと考えます。

●れいわ新選組
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
-障害者スポーツの普及は障害の種別に関わらずすべての人がスポーツに親しむ機会を増やし、世界の障害者どうしのスポーツを通じた交流につながる機会と考えております。ただ、現在のようなコロナ禍では、オリンピックとパラリンピックのような世界的な大会は開催すべきではありません。
ただし、コロナ収束後には、国際的なスポーツ大会のあり方について、みなさまのご意見を伺いながら、考えていきたいと思います。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
-現在のコロナ禍では、オリ・パラは速やかに中止にし、持てるリソースをコロナ収束に振り向けるべきと考えます。昨年の都知事選で山本太郎代表が掲げたように、コロナ収束後は、選手がベストパフォーマンスを発揮できる場を都が国と連携して創出していくべきだと考えます。もちろん、各競技団体の選手育成、手話通訳者の育成に対しても経済的な後押しを行い、国にも強く求めて参ります。

●日本共産党
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
 スポーツは人権の1つであり、誰にも保障されていることが重要です。日本共産党都議団は2019年9月の都議会代表質問で、東京都聴覚障害者連盟のご要望に応え東京都が開催地候補になることを積極的に検討するよう求めました。
 ろう者の最高のパフォーマンスの発揮の場であり、参加者が手話による国際交流がはかれるデフリンピックを開催することは大きな意義があると考えます。障害者の理解促進や多様性の実現、アクセシビリティの向上をはじめ、SDGsを推進する力になると考えます。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
 東京2020大会に向け障害者スポーツの振興策が図られてきました。2021年以降も、継続し強化していくことが重要です。どんな障害でも楽しめるスポーツの普及、啓発、場の確保、スポーツ団体や人材の育成などの支援を、抜本的に強化すべきです。
 国際障害者総合スポーツ大会として、障害を持つアスリートが、これまで以上に幅広く一同に会する大会が開催されたら、大変素哨らしいことです。誰もとり残すことのない多様性を尊重した社会の実現に、大きな影響を与える重要な大会になると思います。
ご一緒に取り組んでいきたいと思います。

●自由民主党
<質問事項>
1 聴覚障害者のオリンピック「デフリンピック」を開催することの意義について貴党のお考えを教えてください
回答)
 我が党は、今回の都議選の公約でも、障がい者スポーツの一層の振興を掲げており、デフリンピックの歴史や競技においても理解しています。
 デフリンピック開催については、時期や経費、競技会場など綿密な計画が必要不可欠と考えています。
 開催については、今後も、国や関係と協議していく必要があると考えています。

2 パラリンピック以外の国際障害者総合スポーツ競技大会の東京開催について貴党のお考えを教えてください
回答)
 スポーツ基本法制定により、障がい者を含めた国民のスポーツをめぐる環境は大きく変わり、また、東京では2回目のパラリンピック招致を契機とし、障がい者スポーツに対する支援がより一層進められています。
 我が党は、今後もパラリンピック以外の障がい者スポーツに対しても、支援していきます。

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